雑草研究
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タウコギとアメリカセンダングサのベンスルフロンメチル感受性差異への葉面吸収および移行の関与
盧 泳徳松本 宏臼井 健二石塚 皓造
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1996 年 41 巻 3 号 p. 211-215

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抄録

2種のセンダングサ属雑草, タウコギとアメリカセンダングサの除草剤ベンスルフロンメチルに対する感受性を比較し, その異なる感受性に剤の吸収, 移行性が関与しているかどうかについて検討した。
韓国の異なる地域からタウコギとアメリカセンダングサの種子を採取し, 温室内で生育させ, 播種10日後にベンスルフロンメチルを処理してその後の生育に対する影響を調べた。その結果, 供試した2つのタウコギの系統は, イネに比べると劣ったが, アメリカセンダングサやイヌビエより強い抵抗性を示した。また, アメリカセンダングサの2つの系統の抵抗性はイヌビエと同様であった (Table 1)。このことからこれからのセンダングサ属雑草はベンスルフロンメチルにある程度の抵抗性を有するものと考えられた。
この2種間における差異の要因を明らかにする一環として, まず, 地上部を14C標識ベンスルフロンメチル溶液に浸漬し吸収量を測定した結果, アメリカセンダングサの2系統の吸収量はタウコギのそれらより2~3倍大きかった (Tabe 2)。さらに, 子葉および本葉第1葉からの吸収と移行性についてオートラジオグラフィーで検討した。タウコギとアメリカセンダングサとも第1葉からの吸収は少なく, そこからの移行もほとんどなかったのに対し, 子葉からの吸収はアメリカセンダングサで大きく, 吸収された14Cは植物体全体に分布する傾向を示した。一方, タウコギでは子葉からの移行も少なかった (Fig. 1)。
タウコギとアメリカセンダングサ間での感受性差異の機構の全容を明らかにするには, それぞれの種におけるベンスルフロンメチルの代謝や標的酵素であるアセト乳酸合成酵素への影響も検討しなければならないが, 上記の結果から, 吸収, 移行レベルでの差異がその要因の一つとなっているものと推定される。

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