雑草研究
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Xanthomonas campestris pv. poae (JT-P482) がスズメノカタビラの生育および種子生産におよぼす影響
今泉 誠子舘野 淳藤森 嶺
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1997 年 42 巻 1 号 p. 8-17

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抄録

スズメノカタビラ用微生物除草剤である Xanthomonas campestris pv. poae (JT-P482) の防除効果を明らかにするために、1993年より1994年に温室試験および野外ポット試験を行った。菌濃度別の処理効果を確認するために, 105より109cfu/mlの菌液を, あらかじめ滅菌ハサミで傷口を付けたスズメノカタビラに処理したところ, 処理3ヶ月後に108および109cfu/mlの濃度で約75%以上 (対生重比) の防除効果が温室試験により得られた (Table 1, Fig. 1)。また野外ポット試験を用い, JT-P482の菌濃度および処理時期 (12月単独処理, 4月単独処理, 12月および4月の反復処理) の変動が, スズメノカタビラの生育量, 茎数および種子生産量におよぼす影響について試験したところ, 108および109cfu/mlの濃度を12月および4月に反復処理を行った時に、スズメノカタビラの生重減少率は約67%, 茎数減少率は86%と最も高い効果を示した (Fig. 2, 3)。種子生産量への影響は、12月単独処理および4月単独処理において、菌濃度が108および109cfu/mlの場合に、77-88%と著しい減少率が認められ (4月30日, 5月18日, 6月6日の3日間の収穫種子の合計の比較), 12月および4月反復処理では, 107cfu/mlの菌濃度の処理により85%の減少率が, また108および109cfu/mlの菌濃度により94%の減少率が得られた (Table 2)。85%以上の種子減少率を有効と仮定した場合, 12月処理の場合に109cfu/ml, 4月処理の場合に108cfu/ml以上, 12月および4月反復処理の場合に107cfu/ml以上の菌濃度を使用すればよいことになる。以上の結果より, Xanthomonas campestris pv. poae (JT-P482) はスズメノカタビラに対し高い防除効果を有することが明らかとなった。また、12月および4月に反復処理を行うことにより、スズメノカタビラの種子生産を大きく減少させ得ることが明らかとなった。

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