南緯7°から北緯44°にわたる9ヵ国の水田から種子を採取した20系統のタイヌビエ (Table 1) を25℃で12、14と16時間の日長条件下で育成して, その到穂日数から基本栄養生長相 (basic vegetative phase, BVP) と感光相 (photosensitive phase, PSP) の日数を求めて日長反応性を調べた。北緯30°以北由来のタイヌビエの系統は, PSPが30日より大きく (Table 2), 強感光性と弱感光性であった (Fig. 1-B, 1-C)。また, これらの系統間には, 14時間日長条件下の到穂日数と採取地の緯度との間に有意な負の相関 (r=-0.904, n=11, P<0.01) がみられ, 日長反応性に地理的クラインが認められた (Fig. 2)。一方, 北緯30°以南の亜熱帯と熱帯由来の7系統のタイヌビエは, PSPが30日より小さく (Table 2), これらはすべて非感光性であった (Fig. 1-A)。したがって, この地域のタイヌビエは多様な水稲栽培に広い適応性をもつと考えられた。