雑草研究
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1時間気温値の加重型有効積算気温を用いた野生ヒエとイヌホタルイの葉齢進展
森田 弘彦
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1999 年 44 巻 3 号 p. 218-227

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抄録

水田の主要雑草である野生ヒエのタイヌビエ, イヌビエ, ヒメタイヌビエおよびイヌホタルイについて葉齢進展の指標となる加重型有効積算気温を, 第2葉の進展速度を基に算出した有効度に読み替えて1時間ごとに積算する手法として開発し, その積算値の一定性を検討した。
1. 12℃から36℃まで3℃刻みに設定した陽光恒温器内で, 福岡県産のタイヌビエ, イヌビエ, ヒメタイヌビエおよびイヌホタルイの第2葉の24時間の伸長量を測定した (Table 1)。15℃から36℃までの温度条件下で完全に展開した第2葉の長さに対する24時間の伸長量の比をその温度の葉齢進展への有効度とし, Spline曲線補間法により0.1℃ごとの値を読み取り, その1/24を1時間当たりの有効気温 (ε) とした (Table 2-1~4)。
2. 戸外で, 1/5000aのワグネルポットで7回の代かき時期後に出芽したタイヌビエ, イヌビエ, ヒメタイヌビエおよびイヌホタルイでは, 葉齢進展を有効積算気温値 (Σε) との関係で表すと, 同値の代かき時期間の変動係数は日数 (Σday) より大幅に小さく, また, 日平均気温積算値 (ΣT) や日平均気温から10℃を控除した積算値 (Σ(T-10)) よりは幾分小さかった (Table 3-1~4)。
3. 水田で4回の代かき時期後に自然発生したヒメタイヌビエでは, 代かき日から1.5葉期および1.5から2.0葉期までのΣεの変動係数は他の積算値より小さく (Table 4), Σεの積算値はワグネルポットでの値と同等であった。
4. Σεは, 気温の1時間値を葉齢進展の有効度に直接読み替えて積算する簡便な加重型有効積算気温として使用できる。

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