1999 年 44 巻 3 号 p. 228-235
北海道岩見沢市, 中富良野町および栗山町で, (1) 除草剤の使用時期, 使用量および使用後の水管理等は適正で, (2) イヌホタルイ (Scirpus juncoides Roxb. var. ohwianus. T. Koyama) 以外の草種が残草していない, (3) イヌホタルイの残草が2ヶ年以上継続している, (4) 残草が始まる前5ヶ年間に多量な残草がみられない, (5) SU剤を成分に含む一発処理剤を5年程度もしくはそれ以上連用している特徴をもつ水田において, イヌホタルイが1997年に多数残草していた。これらのイヌホタルイを採取し, 北海道立中央農業試験場稲作部において, ベンスルフロンメチル, ピラゾスルフロンエチルおよびイマゾスルフロンに対する感受性を検討した結果, これらのスルホニルウレア系除草剤では防除できないスルホニルウレア系除草剤抵抗性生物型イヌホタルイであった。その半数致死薬量は, 感受性生物型の40~140倍であった。また, スルホニルウレア系除草剤とは作用機作の異なるプレチラクロール・ベンフレセート・ピラゾレート・ジメタメトリン4種混合粒剤あるいはピリブチカルブ・ブロモブチド・ベンゾフェナップ3種混合フロアブル剤が有効で, これらスルホニルウレア系除草剤抵抗性生物型イヌホタルイの防除は可能であることが示された。
したがって, スルホニルウレア系除草剤抵抗性生物型イヌホタルイの出現が確認された場合には, 他水田への拡散を防ぐために, 使用する除草剤を前述の有効な除草剤等へ変更する必要がある。