雑草研究
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主要な在来・帰化およびブラジル産雑草のアレロパシー活性のプラントボックス法による検定
服部 眞幸平舘 俊太郎荒谷 博西原 英治藤井 義晴
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2004 年 49 巻 3 号 p. 169-183

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抄録

新たに侵入した雑草が繁殖・定着する要因の1つとして, アレロパシーによる化学生態的優位性が考えられる。そこで, 日本の在来雑草種18科38種, すでに国内に定着している帰化雑草種12科30種, 輸入飼料に混入されていた雑草種8科18種, および今後, 侵入が予想されるブラジル産雑草種17科55種, 合計25科129種を対象に, 根から滲出するアレロパシー物質の活性を検定した。
その結果, 平均すると, 必ずしも外来雑草のアレロパシー活性が既に定着している雑草よりも高いとは言えなかったが, ブラジルの主要雑草の中にはアレロパシー活性が高いものが見られた。また, イチビのように, 輸入飼料由来ならびに定着種の両者でもアレロパシー活性の強いものと, シロザのように輸入飼料由来とブラジル由来の個体のアレロパシー活性が強く, すでにわが国に定着している種には, 活性の弱い個体もあったことから, 同一種であっても強いアレロパシー活性を有した個体の侵入が考えられる。以上のことから, 化学生態的侵略性の高い雑草が侵入・定着した場合, 日本の植生攪乱の一因となる可能性が示唆された。

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