Wikipediaには幅広い種類の記事が存在し,普通の百科事典には見られないような項目も存在する.その一つに,珍妙で面白い記事を集めた“珍項目”が存在するが,登録記事数は少なく,コミュニティの活動は停滞している.この理由として,珍項目の編集には幅広い知識が必要であるため,記事の編集が難しく,それが珍妙で面白いかという判断も容易ではないことが考えられる.本研究では珍項目コミュニティにおける編集活動の活性化を目的として,珍項目編集者や珍項目の候補となり得る記事の分析を行なった.分析を通して,珍項目を好む編集者の存在が明らかとなり,多くの珍項目編集者は珍項目以外にも珍妙で面白い記事を編集していることが分かった.この分析手法は珍妙で面白い記事候補の自動抽出に活用でき,大規模言語モデルを併用することで,候補記事を珍項目に登録するかどうかの判断補助も可能となるため,コミュニティ活性化への応用も期待できる.