Webインテリジェンスとインタラクション研究会 予稿集
Online ISSN : 2758-2922
第21回研究会
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セッション2:情報推薦(2)・支援
外国語で教科を学ぶ学生を対象とした教育学習支援システムのためのJavaScript上で動作するエッジAIと複数指示追従問題
江原 遥
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p. 32-38

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抄録

英語を母語としない学生は,数学を英語で学ぶことが多く,概念的な推論とそれを表現する学術用語の両方を理解する必要がある.大規模言語モデル(LLM)は,段階的な解答と語彙説明を同時に提供することで,こうした状況での支援が可能である.しかし,この2つの要求に対するLLMの性能は体系的に検証されていない.本研究では,インライン語彙支援の提供が数学的推論の正確性に与える影響を検証する.CEFR-J Wordlistを用いて英語学習者に説明が必要な単語を特定し,4つの大規模言語モデルに対し,語彙説明の有無で英語による数学問題の解決を促した.MMLU初等数学とGSM8Kデータセットを用いて検証したところ,GSM8Kでは説明の追加により正答率が低下した.この知見は,語彙支援が言語習得には有益でも推論精度を阻害する可能性を示唆する.本研究では,外国語を母語としない学習者の教科教育のために,言語面での支援はブラウザ上のJavaScript上のみで行い,教科面での支援のみを大規模言語モデルで行う形の教育学習支援システムを提案する.具体的には,英語の品詞推定や辞書とのマッチング,単語の意味表示等を全てJavaScript上のみで外部のAPI等に一切アクセスすることなく行う.これにより,前述の複数指示追従の問題が解決する事に加え,これらはタブレット環境のブラウザ十分動作可能なサイズであり,サーバサイドの処理は一切行わずダウンロードした辞書のみを用いるために,言語面の支援のために複数の大規模言語モデルを同時使用する場合と比較して,大規模言語モデルのように何秒もまたなくともリアルタイムで品詞推定を行い支援を受けられる利点もある.そのほか,アクセス集中を避けられる点,災害時に通信が遮断されても教育を止めない点や環境負荷等の点でも提案手法は有用であることを述べる.

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