抄録
メタメリズムに関しては、その重要性がゆえに、これまでに多くの研究がなされている. その中でCohenのR-Matrixは、G. Wyszeckiの仮説、すなわち任意の分光スペクトルは、ファンダメンタル成分とメタメリックブラック成分に分離できるということを、線形代数の枠組みで体系化したものである. 本稿は、このR-Matrixに関して2, 3の考察を行うものである. 著者らは、独自の視点からメタメリックブラックの陽な記述式を導出した。まず、本式がCohen R-Matrixの演算論理と等価なものであることを示す. 次に、等エネルギー分光スペクトルをR-Matrixによって分解したときの、メタメリックブラック成分の0交点問題について、著者らのメタメリックブラック式を用いて論ずる.