抄録
色再現は、白色光源下で最もvividであるという現象が古くから知られている。この現象を最大色分離仮説と呼ぶこととし、この仮説に基づく色順応モデルMCS(Maximum Color Separation)を提案する。MCSでは、vividすなわち色域の最大化と、色域重心座標が理想白色点座標に一致することの等価性が理論的に保障され、このことで、仮説に対する頑強なモデル構造となっている。MCSではまた逆に、現象仮説の背後にある論理構造を説明するものともなっている。MCSでは、グレーワールドとの強い類似性が見てとれるが、順応制御構造に本質的な違いがあることを示す。また、実画像を使用した実験によりMCSの有効性を示す。