抄録
自然環境を含む一般的なシーンにおいて全方位光源の空間分布と分光分布を推定する手法を述べ, これをコンピュータグラフィックスに応用する. まず, 鏡面球に映り込んだ像をディジタルカメラで画像計測し, 全方位の光源分布を調べる. 精密な全方位分布を得るために, カメラと鏡面球を載せた専用の回転計測台を製作した. 光源の空間分布は, 鏡面球に映り込んだ像から光源方向ベクトルを算出することで決定する. 次に各方向における光源分光分布は, カラー画像のRGB3チャンネルからカメラ感度特性と有限次元線形モデルを用いて推定する. さらに, 推定した全方位における光源分光分布を用いて, 仮想シーンの映像化を行う. 最後に, 提案した手法を実験で詳細に評価する. 室内照明と外光を含む環境下で全方位光源分布を計測し, 推定した3次元分光分布を用いて金属物体を仮想したCG画像を生成する.