主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:周産期の Pharmacology
回次: 14
開催地: 東京都
開催日: 1996/01/20 - 1996/01/21
p. 159-169
はじめに
1974年にZuckermanら1)が初めて陣痛抑制のためにインドメタシンを臨床使用した後,相次いでその強力な陣痛抑制作用と合併症が少ないことが報告された2~4)。Moralesら5), Besingerら6)は陣痛抑制効果をβ遮断薬と比較してほぼ匹敵するかそれに優ると報告している。また,β遮断薬にある心筋虚血や肺浮腫などの母体循環系への副作用が少ないことも,インドメタシンが陣痛抑制剤として優れている点であると強調している。
しかし,その後インドメタシンによる陣痛抑制を受けた母体から出生した児にさまざまな症状が生じることが報告されるようになった7-12)。
一方,わが国においてはインドメタシンの陣痛抑制剤としての臨床研究は乏しく,清水ら13)の妊娠31-37週時の早産予防効果についての検討が1976年に報告されているほか,散見されるにすぎない。
そこで,インドメタシンの胎児・新生児への影響について,文献的に考察することと,アンケートによるわが国の現状調査について報告する。