人口の高齢化に伴い変形性股関節症の発生は近年,急増の一途をたどっている.整形外科領域においてはこのような疾患に対し体内に人工物を埋め込む手術を行う.人工股関節置換術は,関節機能の再建修復を目的として行われる方法であり,すでに確立した医療技術のひとつとなっている.骨の代わりに人工股関節をインプラントする際,その固定法は術後の経過を大きく左右する.固定不良の場合,固定部分に緩みをきたし骨破壊や疼痛が増す危険性がある.良好な人工関節初期固定を実現するためには,骨組織とステム間に発生する応力の適切な分布を達成することが望ましいと考えられる.そこで本研究において,人工股関節大腿骨側ステムについてタクタイルセンサを用い,接触応力を測定することでリアルタイムの2次元デジタル画像を得た.その結果を指標とし各種人工関節の固定法を評価するための実験方法と評価基準の作成を試みた.