抄録
近年,3次元モデルを対象とした形状の類似性に基づく検索の必要性が高まり,多数の3次元形状の類似比較手法が提案されている.しかし,個々の形状類似比較手法の性能はいまだ十分でなく,また,比較手法ごとに形状の種類による得手不得手がある.本論文では,複数の形状特徴量から得られた複数の特徴間相違度を組み合わせ,個々の特徴量の欠点を補いつつ検索性能の向上を狙う手法を提案し,評価する.相違度の結合は,大きさを正規化した複数の相違度に対し,(1) 静的な重み,(2) あらかじめクラス分けされた学習用データベースを使う動的な重み,のいずれかを乗じた後に足し合わせる方法を用い,比較した.特徴量としては,(1) 4種類の特徴量(D2,AAD,SPRH,およびLFD),および,(2) これら4つの特徴量に大渕および武井らの提案したアルファシェイプに基づく多重解像度アプローチを適用して得られる特徴量,を用いた.実験的評価の結果,多重解像度SPRHの距離を動的重みで結合した場合の性能は,単体での検索性能が現時点で最も高いとされるLFDにほぼ匹敵することがわかった.また,組み合わせによっては,その検索性能がLFDの検索性能を大きく超えることもわかった.