抄録
音声生成のしくみの学習及び将来の音声発話ロボット開発における発声部の部品開発を想定し, 声帯が実際に音を出す仕組みに似せた働きをもつ咽頭部模型を製作した. 声帯周りの筋肉や軟骨の位置などを示した人体模型は多くあるが, これらの既存の模型では発声のしくみを理解するのは難しいため, 実際に音の出る声帯及び声帯周辺の模型を作った.素材は, ゴム風船と, スカルピーと呼ばれる樹脂粘土, 針金を用いた. まずスカルピーで声帯に関連している甲状軟骨や輪状軟骨, 披裂軟骨などの軟骨を作り, 針金と声帯ヒダに当たる様な個所にあらかじめ切れ目を入れて置いたゴム風船を取り付け, 最終的にゴムと披裂軟骨模型を組み合せ, さらに輪状軟骨模型を組み合せることによって, 声帯の開閉を模式的に表し, 実際に開閉可能でかつ音の出る声帯模型となった.