抄録
本研究は芝生アート表現を拡張することを目的とし,芝生の質感を保った濃淡映像表示技術を提案する.実世界において,芝の伸び具合により芝生の色むらを確認できる点から着想を得て,人工芝の形状を動的に制御することで濃淡映像を表示する.上下移動する複数のピンで構成されたピンディスプレイの技術を用いて,高速な芝丈の調整を制御するシステムを開発した.デモンストレーションとして3x3 ピクセルの人工芝ピンディスプレイを用意し,開発した表示技術の表現能力を主観評価で確かめた.濃淡映像を表現できる芝生アートは,自然景観を意識したパブリックディスプレイへの応用が考えられ,実生活に溶け込んだ情報伝達手段として活用可能である.