2020 年 26 巻 p. 120-129
1903年9月23日,東京の西郊で竜巻が起き,3つの小学校が被災した.このうち淀橋尋常高等小学校では校舎が倒壊し,生徒6人が死亡した.この災害の詳細を,当時の観測資料・調査報告や新聞記事に基づいて調べた.竜巻は台風中心の北東約200kmで発生し,渋谷付近から北へ進んで高島平付近まで達した.関東平野には暖かい南東風と低温の北東風の間にメソ前線が存在し,竜巻はこの前線が東京を通過しつつあるときに起きた.淀橋小学校の災害発生は授業時間中だったが,教師や保護者の一部は荒天を心配して生徒を帰宅させようとしていたようである.別の小学校でも校舎が損傷したが,死傷者はなかった.