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池田 侑樹, 大宮 哲, 新屋 啓文, 大風 翼
2020 年 26 巻 p.
1-8
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
北海道東部の弟子屈町は、釧路川流域の山脈の谷に位置し、冬期に強い北西風が度々観測される。暴風雪に対し、適切な対策を行うには、強風の形成要因を分析することが重要である。本研究は、領域気象モデルWRFを用いて、弟子屈に吹く強風の形成要因の分析を行った。解析の結果、弟子屈を含む谷の出口付近に、下降流及び強風域が形成されており、この強風域は、谷の入口と出口において、両地点の風向が谷筋に沿って一致した時に発生していることが分かった。さらに、無次元化した谷幅と流入Froude数に基づくと、強風時の流れ場は、谷の出口で強風となる非定常の状態であった。以上の結果は、弟子屈の強風がGap windによるものであることを示唆している。
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服部 康男, 橋本 篤, 中尾 圭佑, 平口 博丸, 小林 岳, 山崎 智之, 大園 智章, 北嶋 知樹
2020 年 26 巻 p.
9-16
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
本研究では,台風1915号に伴う房総半島の地上風風特性を数値的に検討し,特に台風の最大風速半径付近での強風の活性化と複雑な地形による強風の局所的な増強との相互作用に注目して検討を行った.数値気象予報と台風モデルによる地上風の時系列結果から、房総半島の西海岸沿いには台風の中心部のすぐ外側に形成される強風域が存在し、大気境界層上層での風速は約60m/s、風向は南向きであることが明らかになった。房総半島西海岸を対象とした風工学モデル(CFDモデル)を用いて得られた時間平均風況場の空間分布を分析した結果,強風スポッが直前ののぼり斜面とともに上流側の地形起伏により発生していることが示唆された. また,強風スポットを対象としたラージ・エディ・シミュレーションにより,平地上で観測された値と比較して大きな乱流強度とピーク係数が得られた.
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佐々木 澄, 松井 正宏
2020 年 26 巻 p.
17-24
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
ドップラーライダを用い,東京都心部の高高度における風況把握を目的とした長期観測を実施した。測定データの特徴を整理し、把握した上で分析を進めた。データ取得率や大気安定度,風速レベルや周辺建物の影響について検討した。データ取得率は高度別や季節によって差が大きく,観測データだけでは風況の統計的特徴を把握することは難しい。周囲の建物の影響と考えられる風向の違いによる風況変化が確認され,高さ約200mの建物の影響は標高約300m程度まで見られた。
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守永 武史, 毛利 英明, 八木 俊政, 森 一安, 萩野谷 成徳
2020 年 26 巻 p.
25-30
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
気象研究所の風洞を用いて, 不安定な温度成層を作成し, 風速の鉛直分布を測定した。平均風速と風速変動の分散について, attached eddy仮説を当てはめて中立時との違いを考察した。
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横嶋 哲, 平井 俊也, 安藤 丈央, 風早 祐輔, 内田 龍彦, 河原 能久
2020 年 26 巻 p.
31-40
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
植生/都市キャノピー流れの実用的な予測において抗力モデルは必要不可欠である。しかしながらこのモデルはその代表速度をどう与えるかという点で本質的な困難を有する。孤立した障害物を過ぎる流れでは、流入速度が代表速度となる。これはこの障害物が存在しない場合に障害物位置を過ぎる流れ(undisturbed flow)と捉えられる。複数の障害物が近接する場合に上記の考えを適用すれば、ある障害物に対する代表速度は、その障害物が存在せず、他の障害物は全て存在する場合に、当該障害物位置を過ぎる流れとなるものの、その算出は容易ではない。本研究では円柱群を過ぎる流れにおいてundisturbed flowを直接的に算出し、その基本特性を議論した。
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岩下 久人, 森田 敏明, 柴田 耕志, 小林 文明
2020 年 26 巻 p.
41-50
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
POTEKAは、気温、気圧、風向・風速など複数の気象要素が観測可能な小型気象計である。群馬県・埼玉県平野部では、約150台のPOTEKAによって約1~2㎞間隔の地上稠密気象観測網(POTEKAネットワーク)が構築されている。POTEKAネットワークはダウンバーストやガストフロントなど様々な突風事例を観測してきた。これらの観測結果は、2016年7月14日JEF1と2015年6月15日F1の二つのダウンバーストには、発生時の類似した特性、例えば風速と気温・気圧の変化時刻の関係性/積乱雲の進行状況/風の局所的変化/ダウンバースト水平スケールなどがあったことを明らかにした。これらの類似特性を理解することで、群馬県・埼玉県平野部におけるダウンバーストを予測できる可能性がある。
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小林 俊之, 山田 均, 勝地 弘
2020 年 26 巻 p.
51-58
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
風速の再現期待値を求める一つの方法に、台風シミュレーションがある。台風時の地上の風速を求めるモデルに、各風向の粗度長から鉛直分布を仮定する方法がある。しかしながら、観測値から粗度長を求める際、台風によって異なる推定値となることがある。本研究では、地表面摩擦の影響を受けない上空風と地上風の再現期待値の比(RWR: Recurrence wind speed ratio)についての性質を調べると共に、RWRを用いた地上風推定方法を提案した。結果として、RWRは再現期間に依存しない傾向が確認された。これより、風速の観測値が得られる観測地点では提案手法が適用可能と考えられる。加えて、RWRは地上からの高さと地形の影響を受けることも示した。
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重田 祥範, 山本 優希
2020 年 26 巻 p.
59-66
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
本研究は,鳥取放牧場風力発電所を対象とし,運転実績や気象データから風況特性ならびに運転特性を解析した.その結果,事前の風況調査では年平均風速は5.6 m/s と予測されていたが,実際は4.5 m/s であり,約20%の乖離が生じていた.同様に,5372 MWh の年間目標発電量に対して,過去の平均は4650 MWhであった.これらの結果から,風況調査が適切におこなわれていなかった可能性がある.一方,風速分布の形状は,一般的なワイブル分布の形状と大きく異なっていたことから,ワイブル分布を用いた風況解析の信頼性が疑われ,長期間の風況調査の重要性が示唆される結果となった.また,風の乱れによって約1ヶ月分の損失が生じていることが明らかになった.
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志田 崇, 久保田 健, 桐原 慎二, 本田 明弘
2020 年 26 巻 p.
67-75
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
弘前大学によって開発された抗力型垂直軸風車“ローテーションフロー風車”を海草種苗生産における海水揚水動力として検討している。沿岸部における揚水システムを実用化するため、市販のポンプを選定しその特性を測定してから実際に使用する風車を風洞にて評価し、揚水システムを設計してから青森県外ヶ浜町平舘漁港(石崎地区)に設置した。自然風において風車が回転揚水している時の風速、回転数、トルクを確認し、風洞での性能、揚水システム設計と同様の結果を得られたが、実証中ポンプ内に空気が流入することによる揚水量の低下が認められ。今後,ポンプを海水中に水没させるなど,空気の流入を阻止する工夫が必要と考えられた。
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本田 明弘, 笹沼 菜々子
2020 年 26 巻 p.
76-85
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
著者らは既報において、津軽海峡おけるフェリーによる風観測を実施し発電量を左右するのは風速の頻度分布の特性に考察を加えて、豊富な風資源があることが示された.今後北日本の沿岸域において洋上風力発電が計画されるにあたり、安全性を考慮するうえで極値風速に関する検討も重要であり、今回は沿岸に設置されている灯台のうち海上保安庁から長期のデータを公開2)している灯台に着目し、極値風速に検討を加えた. また、灯台の周辺に設置されている陸上風車において観測された風データを用いて、短期間ではあるが上記の灯台における強風特性との相関関係を調査し、強風時の風向・風速・乱れ強さに関する詳細特性を把握した. 最後にこれらの相関関係と風況シミュレーションの結果を比較しつつ、大型風車の設計風速を算定する方法を検討した.
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比江島 慎二, 遠藤 愛巳, 山本 晃大
2020 年 26 巻 p.
86-95
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
自律高空帆走発電に用いるパラフォイルカイトの空力特性について風洞実験を行った.また,自律高空帆走発電のエネルギー取得性能を評価するための飛行シミュレータを構築した.風洞実験結果に基づくシミュレーション例によれば,カイト軌道の高度に依存して,カイトのパフォーマンスに違いが生じることが明らかとなった.
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赤塚 巧, 友清 衣利子
2020 年 26 巻 p.
96-101
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
2018年台風21号は近畿地方を中心に甚大な被害をもたらした.被害の大きかった大阪府泉佐野市で行われた研究によると,調査建物の約15%が飛来物によって損傷を受けており,二次被害も大きな被害要因であった.本報告では,飛来物による被害建物の特徴を特定するとともに被害住宅と周辺環境との関係について検討を行った.その結果,最大瞬間風速時の主流方向に台風被害を受けた建物が多いほど,2次被害を受ける可能性が高くなること,建物密集率が2次被害の発生に影響を与える可能性があることが明らかとなった.台風被害拡大を防ぐためには,強風で被害を受ける可能性が高い古い建物の維持管理,メンテナンスが重要となる.
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野田 稔
2020 年 26 巻 p.
102-109
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
2019年9月9日,令和元年台風15号は,千葉県を中心に東日本に大きな被害をもたらした。そのうちの一つが2基の送電鉄塔の倒壊被害である。本論文では,この被害が発生した際の風速を推定するために,数値流体解析によって送電鉄塔の倒壊現場周辺の流れ場に対する地形の影響を検討した。さらに得られた流れ場に基づいて風荷重を求め,送電鉄塔の静的構造解析を行った。その結果,風向角146.25°において,地形の影響によって局所的に風速が増加し,風速40m/sで79号鉄塔が倒壊し始めるという結果を得た。
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山崎 智之, 大園 智章, 小林 岳, 北嶋 知樹, 橋本 篤, 服部 康男
2020 年 26 巻 p.
110-119
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
2019 年台風15 号は,関東地方に上陸した台風としては,中心気圧が960hPa と低くコンパクトなスケールが特徴で,台風進路の右側にあたる千葉県の房総半島では,記録的な強風が観測された.建造物や樹木等の被害に加えて,送配電線に被害が発生し長期間の停電が発生するなど,甚大な強風災害が発生した.送電線の被害では,君津市に施設される電圧66kV,6 回線送電線の鉄塔2 基が倒壊した.検討の結果,台風経路の右側の強風の発生地域に鉄塔が立地していたこと,鉄塔の風上側に存在する複雑な地形の影響による風の局所的な増速に加え,南からの風向の風荷重を受け易い東西方向ルートの送電線であったことなどの要因が重畳して発生したものと推定された.
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藤部 文昭
2020 年 26 巻 p.
120-129
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
1903年9月23日,東京の西郊で竜巻が起き,3つの小学校が被災した.このうち淀橋尋常高等小学校では校舎が倒壊し,生徒6人が死亡した.この災害の詳細を,当時の観測資料・調査報告や新聞記事に基づいて調べた.竜巻は台風中心の北東約200kmで発生し,渋谷付近から北へ進んで高島平付近まで達した.関東平野には暖かい南東風と低温の北東風の間にメソ前線が存在し,竜巻はこの前線が東京を通過しつつあるときに起きた.淀橋小学校の災害発生は授業時間中だったが,教師や保護者の一部は荒天を心配して生徒を帰宅させようとしていたようである.別の小学校でも校舎が損傷したが,死傷者はなかった.
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森口 拓生, 水谷 国男
2020 年 26 巻 p.
130-138
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
自然風は風向・風速が大きく変動するため、通風・換気量も大きく変動し、過大な室内気流が生じたり、降雨や砂・落ち葉などが侵入する可能性もあるため、風向・風速が変動する自然風の下での実際の通風・換気量を確認する必要がある。本研究では既存集合住宅を対象として、窓の開閉パターンや窓形状を変化させ、室内温熱環境と通風・換気量を実測し、通風・自然換気の効果を確認するとともに、最適な窓の形状と開閉パターンを明らかとする。
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平野 征将, 菊本 英紀, 大風 翼
2020 年 26 巻 p.
139-147
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
本研究は、小型サーミスタ風速計により、風洞実験にてガストファクターを直接計測することを目的とした。まず、風速計の無指向性・プローブの器差が小さいことを確認した後、単体建物周辺の歩行者高さにおけるピーク風速の測定性能の検討を行った。小型サーミスタ風速計は約5Hzまでの変動を捉えることがわかった。建物側方の強風域では、ピークファクターとガストファクターは各々3.0、1.5程度で、同様の単体建物周辺流れを対象としたLESとよく一致した。また、野外観測によるガストファクターの推定式と定性的に一致する傾向が得られた。評価時間3秒の最大瞬間風速との関係や低風速域でのガストファクターの過小評価については、今後の課題である。
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菊本 英紀
2020 年 26 巻 p.
148-156
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
本研究では、k-εモデルおよび濃度輸送方程式を用いたCFD解析により点源発生の汚染物質拡散を予測するため、トラベルタイムを利用した乱流拡散係数リミッタを提案した。同手法では、トラベルタイムも放射性トレーサーと呼ぶ仮想トレーサーにより数値的に予測される。また、同手法を2次元一様乱流場における点源発生の汚染物質拡散予測に適用し、理論的に予測される拡散初期のトラベルタイムに比例した拡散幅の増加挙動を再現できることを示した。また、乱流拡散係数リミッタに含まれる3つのモデル変数の調整により、拡散初期および終期の乱流拡散係数および拡散幅を制御できることを示した。
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王 偉, 曹 勇, 大風 翼
2020 年 26 巻 p.
157-166
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
境界層メッシュとセルタイプ(六面体セルと多面体セル)が、1:1:2の孤立した建物周辺の歩行者レベルの風環境の再現に及ぼす影響を分析するために、LESを実施した。境界層メッシュを適用することで、平坦な地面に近いメッシュの非直交性と歪度を低減することができ、流れ場の数値精度が向上することが明らかになった。一方で、建物の鋭い角の周りの局所領域では、境界層メッシュを適用した場合、メッシュの非直交性と歪度をうまく制御することが困難であることも明らかになった。結果として、建物周辺のせん断層などの敏感な領域においては、境界層メッシュを適用しても改善が見られなかった。セルタイプの影響について、六面体セルを用いた場合は、一般的に多面体を用いた場合よりもわずかに優れた精度を示している。しかし、多面体の場合のセル数は、六面体の場合のセル数よりも2倍以上少なく、これは、多面体メッシュの方が計算リソースにとってはるかに経済的であることを示している。
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島 卓真, 木綿 隆弘, 河野 孝昭, 渡 飛博
2020 年 26 巻 p.
167-176
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
せん断流中に直線翼ダリウス風車を設置した際に,速度分布が風車性能に与える影響を風洞実験と数値流体解析により調べた.実験では風洞ノズル出口に多孔板を設置することで二次元性のあるせん断流を作成した.せん断流中での風車の出力係数は一様流の場合よりも大きくなった.出力係数が最大となる最適な多孔板の位置はΨ(=Yp/D)=0.125であった.ここでYpは多孔板先端位置,Dは風車直径である.数値流体解析は二次元ではRANS,三次元ではLESを用いて行った.その結果,LESを用いた場合,出力係数において実験と数値流体解析の間で良い一致が見られ,トルク増減と翼周りの三次元流れ構造との関係を明らかにした.
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内田 孝紀, 渡辺 康一, 大屋 裕二, 松島 啓二, 高田 青
2020 年 26 巻 p.
177-184
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
本研究では,風車ブレード形状の異なる二種類の風車模型(MEL翼:ロータ径1000mmおよびゼファー翼:ロータ径1160mm)を用いて風洞実験を行った.特に最適周速比,失速周速比における風車ウエイク領域内の気流計測を行い,それぞれの周速比における気流性状の特徴を明らかにした.その後,最適周速比で運転するMEL翼の挙動に的を絞り,アクチュエータラインモデルを用いたラージエディシミュレーションを行った.風洞実験結果との比較を行うとともに,風車ウエイクの3次元構造などを詳細に検討した.その結果,tip vortexの生成と崩壊が風車ウエイク領域内における気流性状に強く関連していることが示された.
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杉山 裕樹, 川﨑 雅和, 坂井 紀之, 内田 良始, 宮下 康一, 勝地 弘, 金 恵英, 八木 知己
2020 年 26 巻 p.
185-194
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
長大橋の設計においては耐風安定性の検討が重要であり、架橋地点の風況特性に沿った耐風設計条件を設定する必要がある。本稿では現在事業中の大阪湾岸道路西伸部において計画されている橋梁を対象にした気流傾斜角の検討結果を述べる。既往の風観測結果に影響を与えていると考えられる周辺地物による影響の度合いをシミュレーションによって検証することで、設計に用いる気流傾斜角の設定を行った。
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Irpanni Herry, 勝地 弘, 山田 均
2020 年 26 巻 p.
195-204
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
非定常空気力の時間領域での表示法である有理関数近似に関して、強制加振による風洞実験から直接同定する手法の適用性に関して検討を行った。具体的には、加振振幅、加振振動数、データ長の影響について、自由振動法、振動数領域での強制加振法と比較検討を行った。
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三浦 景祐, 松井 正宏
2020 年 26 巻 p.
205-212
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
円柱は後流に生じる交番渦による周期的な揚力振動、いわゆる渦励振現象の発生が問題である。本研究では、この交番渦が左右交互に発生し、その周期特性が一定であるという現象に着目し、煙突の筒身部を模擬した風圧模型を用いて風洞実験を実施し、得られた風圧データを左右に分けて変動風力特性を分析した。風向に対し、右側に位置する測定点の風圧データおよび左側に位置する測定点の風圧データに負担面積を乗じて積分し、右風力FRと左風力FLを算定して、それぞれの周期特性から変動揚力スペクトルをモデル化する方法を提案する。
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河合 英徳, 田村 哲郎
2020 年 26 巻 p.
213-222
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
本研究では,建物群周りの乱流場について,粗度の不均一性が異なる計算モデルのLESを実施し,その組織構造がピーク風速の分布特性と発生過程に及ぼす影響を示した。その結果,建物群上部に低速流体塊による組織構造が存在し,その周囲の高風速の領域により風速の変動値が極大となることを示した。さらに,粗面境界層の上部には境界層厚スケールのロール状の組織構造が確認され,この構造に起因する風速の大きな流体塊が下部の高風速の領域と一体となることにより,ロール状の組織構造がピーク風速の発生に寄与することが示唆された。
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相原 知子, 植松 康
2020 年 26 巻 p.
223-232
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
市街地では,立体駐車場が多く設けられており,空港や大型の商業施設ならびに大規模住宅等に併設されている場合が多い。このような立体駐車場では,各層の外周部に大きな開口があり,この開口部が通気性のある部材で覆われることもある。このような構造物の外壁を設計する際に必要な風力係数は,建築基準法や日本建築学会の建築物荷重指針においては定められていない。本研論文では,幅と奥行きが50m,高さが16.38mである立体駐車場を対象として,風が内部を通過する建物の外周部材の風力係数を検討する。外周部の状況を変化させた15ケースについて風洞実験を行い,立体駐車場外周部材の設計用ピーク風力係数を提案する。
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南野 皓亮, 西嶋 一欽
2020 年 26 巻 p.
233-241
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
「バンブーグリーンハウスプロジェクト」は、地域住民が自身らの手によって竹構造の園芸用ハウスを建設するプロジェクトである。このプロジェクトで建設されるバンブーグリーンハウスは馬蹄形断面を有している。近年の台風によってバンブーグリーンハウスが倒壊し、風に対する脆弱性が露呈する事例が発生した。この事例を受けて、バンブーグリーンハウスの適切な耐風設計の手順が必要となった。本研究ではまず風洞実験により風圧分布を評価した。続いて、構造解析を通して最大荷重効果をもたらす風圧分布を決定し、設計用風力係数を決定した。得られた設計用風力係数と通常の形状をもつ園芸用ハウスの風力係数を比較すると、剥離点の違いに関連した差異が確認された。
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山家 哲生, 佐藤 公亮, 植松 康, 渡部 智之, 池田 浩和
2020 年 26 巻 p.
242-251
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
機械的固定工法防水システムは環境配慮型として普及しているが,耐風性に乏しく耐風性確保が課題となっている。そこで筆者らは太陽光発電(PV)パネルを屋根に平行にかつ隙間を設けて設置することで,PVシステム及び防水システムの風荷重低減に有効なシステムを提案した。PVパネルに作用する風荷重は,外圧とPVパネル裏面圧の差で与えられる。PVパネル裏面圧は,外圧時刻歴を入力値とした非定常ベルヌーイ方程式を応用して算出する。同様に防水システムに作用する風荷重もPVパネル裏面圧を使って評価できる。さらに,PVパネル裏面の風圧時刻歴を用いた非線形の有限要素法解析を行うことで防水システムの風応答も同時に検討する。
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玉城 麿, 西村 宏昭, 丸山 敬
2020 年 26 巻 p.
252-258
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
台風時にネットの充実率が38%の直方体型ネットハウスに作用する風力を測定した。ネットの平均風力係数は風上側で0.6、風下側で-0.2であり、風洞実験の結果に近かった。晴天時の屋根の平均風力係数は0.02だったが、大雨時は-0.3に著しく低下した。雨滴による網の目詰まりがネットに水膜を形成し、風力係数に影響を与えたと考えられる。ロードセルで風荷重を測定したこととは別に圧力センサーでネットに作用する風力を測定した結果、大雨がネットハウスの風力係数に影響を与えることを確認できた。これに加えて、ネットの防風効果についても計測できた。
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ガヴァンスキ 江梨, 西村 宏昭
2020 年 26 巻 p.
259-267
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
適切な安全率を用いた等価静的設計により、金属屋根外装材の風疲労に対応することが可能かどうかの確認を目的として、確率台風モデルを用いたモンテカルロシミュレーションより発生させた台風風速・風向時刻歴、風洞実験で求めた低層建物屋根面に作用する風圧係数時刻歴、そして金属屋根がビス留めされている状態を再現した試験体に対して行った繰り返し載荷試験で得られた疲労曲線を用いて疲労損傷度の計算を行った。
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田邨 拓海, 黒田 眞一, 山内 邦博, 松田 一俊, 佐藤 弘史, 森内 昭
2020 年 26 巻 p.
268-277
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
数値流体解析(CFD)は,長大橋のフラッター特性を検討する上で,これまで主な手法であった風洞実験との相互補完的な運用が本格化しつつある. この論文は,橋梁断面の定常および非定常空気力を予測するためのCFDの適用性について検討したものである. 基本断面および長大吊橋の箱桁断面の計7種類の断面形状の各定常および非定常空気力係数を2次元RANSに基づく数値解析によって求めた.解析値と風洞実験値を比較した結果,両者は良く一致していることが分かった. 次に、解析値の空気力係数を使用してマルチモードフラッター解析から得たフラッター風速を風洞実験値の係数を使用した結果と比較した. その結果,CFDによる空気力係数を用いて解析したフラッター風速は,風洞実験値を用いて解析したフラッター風速と10%以内の誤差でほぼ一致した結果が得られた.
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垂石 早紀, 松宮 央登
2020 年 26 巻 p.
278-287
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
フリー
実規模4導体電線のバフェッティングに伴う張力変動を観測し,その結果を用いて様々な振動モードの減衰比を算出した.また,減衰比に対する空力減衰の寄与を明らかにするため,水平,鉛直,捻回方向の空力減衰の理論式を導出し,観測結果と比較した.観測結果は理論式に定数を加えた値と概ねよく一致しており,減衰比が一定程度の構造減衰と風速に比例する空力減衰から成ることが示された.また,同振動数,同風速の下での振動における空力減衰は,水平振動 ›捻回振動 ›鉛直振動の順に大きいことが明らかになった.さらに,得られた減衰比の特性を踏まえ,理論式と同じ傾きの近似直線の切片を求めることで,各振動モードの構造減衰を算出した.
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杜 丘世豪, 馬場 久昌, 板谷 海帆, 木村 吉郎, 西村 宏昭, 大幢 勝利
2020 年 26 巻 p.
288-296
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
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「雨なし振動」は,斜張橋ケーブルのような円柱部材から観察できる.著者らは以前,斜円柱模型を用いて一連の風洞試験を実施しており、高風速範囲での空力振動が観察された.この研究では,応答中の圧力分布のより正確な測定値を取得することを試みた.その結果,応答を引き起こす圧力分布の可能なパターンが示された.ただし,測定結果は試験ごとに異なる場合があり,より明確な理解を得るためにはさらなる研究が必要である.
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今野 大輔, 植松 康
2020 年 26 巻 p.
297-304
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
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木造住宅の屋根葺き工法として用いられる金属屋根は,台風や竜巻等の強風時に多くの被害を受ける。本研究では,そのような被害の低減に向けて,金属屋根の耐風性能評価および屋根葺き材の飛散メカニズムの解明を目的とした実験的検討を行った。実験は,実変動風荷重載荷装置PLAを用いて,金属屋根葺き材を施工した屋根アセンブリ試験体に対して漸増荷重並びに実変動風荷重載荷実験を行い,動的荷重と静的荷重を作用させた場合の金属屋根の挙動や破壊性状の違いの検討,及び金属屋根の葺き方の違いによる破壊形態の違いについて検討した。また,建設省告示第1458号に示される設計用風荷重と実験結果の比較により,屋根葺き工法の妥当性検証を行った。
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劉 美智, 丸山 敬, 佐々木 寛介, 井上 実, 井口 正人, 藤田 英輔
2020 年 26 巻 p.
305-313
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
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本研究では,噴石模型の落下性状をビデオカメラで撮影し,得られた動画を用いて模型の落下の3次元運動を解析し,得られた落下の軌跡から噴石のような不整形物体の持つ空力特性を求めた。噴石模型の形状は,実験を行った桜島の現地で採取された噴石を模し,鋭角な角のあるものとないものの2種類を代表として選んだ。実験から得られた抗力係数は落下にともなう速度の増加とともに小さくなり,終端速度に達した際の値は,鋭角な角のない噴石模型で約0.5,鋭角な角のある噴石模型で約0.6となった。また,比較として用いた球体模型の抗力係数は約0.3となった。
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西嶋 一欽, 米田 格, 清水 勝
2020 年 26 巻 p.
314-323
発行日: 2020年
公開日: 2021/05/25
ジャーナル
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本研究は新たに風圧実測システムを開発し、その性能を検証するものである。本システムは圧力計測に差圧センサではなく絶対圧センサを用いる。絶対圧センサを用いることで、各センサへ基準圧を導圧する必要がなくなり、格段に容易に風圧を実測することが可能になる。
本研究で実施した性能検証結果によると少なくとも20Hzまでの圧力変動を10Paの精度で計測可能である。これは、風速15m/s以上の風速下において小数点以下第1桁までの風圧係数の値を算出するのに十分な性能である。また、風を吹かせた風洞内に配置した風洞模型の表面の圧力を本システムと差圧センサを用いて計測し比較を行ったところ、相互に対応した風圧時刻歴が計測されており、本システムによる風圧計測が可能であることが示された。
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