抄録
本研究では,台風1915号に伴う房総半島の地上風風特性を数値的に検討し,特に台風の最大風速半径付近での強風の活性化と複雑な地形による強風の局所的な増強との相互作用に注目して検討を行った.数値気象予報と台風モデルによる地上風の時系列結果から、房総半島の西海岸沿いには台風の中心部のすぐ外側に形成される強風域が存在し、大気境界層上層での風速は約60m/s、風向は南向きであることが明らかになった。房総半島西海岸を対象とした風工学モデル(CFDモデル)を用いて得られた時間平均風況場の空間分布を分析した結果,強風スポッが直前ののぼり斜面とともに上流側の地形起伏により発生していることが示唆された. また,強風スポットを対象としたラージ・エディ・シミュレーションにより,平地上で観測された値と比較して大きな乱流強度とピーク係数が得られた.