前報では, 加熱曲げ加工による変形現象を簡易的に推定する, パソコンを用いたシミュレータを提案した。このシミュレータは, 非定常熱伝導や塑性変形の解析を省略して, 三次元弾性解析のみで, 加熱による鋼板の変形を推定しようとするものである。本報告では, 鋼板の簡易加熱曲げシミュレータにおける, 擬似加熱条件設定の考え方を述べた。擬似加熱条件を用いたシミュレート結果は, 加熱曲げ試験結果と比較してほぼ同様の結果が得られた。また, 実際に加熱曲げ加工する寸法のモデルに対しても使用可能であることを確認した。このシステムを用いて, 擬似体験を簡易に繰り返し行うことで, 加熱曲げ加工技能の伝承に利用することが可能になるものと考えられる。