抄録
船の上下揺及び縦揺の性質は非常によく似ている。その附加慣性,固有週期,を用い,各種抵抗係数及び岨度曲線に対し荒海面で予想し得る最大振幅及びその速度,加速度を算出した。慣性附加率は普通の状態では上下揺では60〜80%,縦揺では50〜70%であり,動揺によつて生ずる発生波長は船幅に比して約5倍程度に達する。上下揺は完全規測波中で吃水の30〜40%,縦揺は略√<0.8h/L>≒(3〜4)×h/L(rad)であることが予想された。荒海面では中型貨客船では風力10〜12の範囲で特に猛烈な縦揺速度が現われ,これは船底衝撃と密接な関係があると思われる。