抄録
転職する際、人々はどの程度の年収を希望するのだろうか。そして、その希望賃金の大小にはどのような要因が影響しているのだろうか。この稿は、ワーキング・パーソンが転職にあたって希望した年収について検討する。分析の結果、希望年収には前職の年収が強く影響していること、職探しの方法や退職理由、そして入職経路の違いも影響していること、などが観察された。また、失業期間や転職 1 年目の年収に対する希望年収の効果について分析すると、希望年収の高い者の失業期間は短い傾向にあること、希望年収と転職後 1 年目の年収は正の相関関係にはあるが、平均して希望年収より 1 割程度低い水準になっていること、などが観察された。