女性学
Online ISSN : 2436-5084
Print ISSN : 1343-697X
論文
無毛化する女子高生の身体
合場 敬子
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2023 年 30 巻 p. 52-72

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抄録

 本論文は私立の男女共学高である南風高校(仮名)の女子高生32人へのインタビューを基に、女子高生の体毛除去について考察した。女子高生の多くは、脇毛、脛毛、腕の毛を除去していた。体毛の除去を始めた理由と継続している理由は、体毛を他人に見せてはいけないという規範への同調と「想像された自己」の構築であった。南風高校の特定のクラスの女子にとって、脇、腕、脛の体毛を除去するということが最低限の身だしなみ実践となっていたので、それをしないという選択肢はなくなっていた。その結果として腕、脛の体毛を除去しない女子高生は、他者からの非難は受けていなかったが、自分に対する嫌悪を抱いていた。今や、体毛の部位や年齢層によっても異なるが、脇毛、脛毛、腕の毛の除去は、日本社会において、10代から20代の女性にとって身だしなみになっていると考えられる。したがって、生理的に体毛の除去ができない女性であっても、体毛の除去をしていないことで、他人から身だしなみをきちんとしていない人として非難される可能性がある。これは不当なことであり、体毛の除去は女性の身だしなみという規範は、変えていく必要がある。

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© 2023 日本女性学会
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