抄録
現在, 世界中のさまざまな国で臨床試験が行われるようになってきているが, それぞれの国における文化や制度の問題などからその方法論に微妙な相違があるのは, ある程度致し方のないことであるとも考えられている.ただし, 文化による差を強調しすぎるあまり, それが科学的な方法論を使って臨床医学を発展させるという基本理念から外れてしまうことになるとしたら, 大きな問題であろう.
そこで, 癌の臨床試験に関する日米間のこういった問題点について率直に意見を交わす場として, 1992年より US-Japan Clinical Trial Joint Meetingが開かれるようになり, 第1回目はシアトルで, 第2回目はハワイで, 第3回目はシアトルで会議がもたれ, 両国間のそれぞれの分野におけるエキスパートたちの相互理解が深められた.
筆者らは, この第3回目にシアトルで行われた骨軟部腫瘍に関するワークショップに出席し, 討議に参加する機会を得たので, このUS-Japan Clinical Trial Summitと名づけられた会議について紹介し, 報告を行ってみることとしたい.