回折現象を使った構造解析においては,逆空間の概念の理解がきわめて重要となる.実は,これは量子力学の本質を理解することと同じである.そして,この本質とは般若心経の一節「色即是空」そのものである.「色」は形あるもの,「空」は目に見えない漠としたものである.ここで,「色」は粒を表し,「空」は波を表すと解釈すれば,「粒は波である」という極めて単純な理解ができる.本稿では,この「色即是空」による回折現象と逆空間の理解について解説する.「この世の中には粒は存在せず,物質は全て波で出来ている」という考え方をし,全てを逆空間の視点で見れば,ややこしいことに頭を悩ますことも無くなる.万物は波であり「色即是空」である.