X線分析の進歩
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Print ISSN : 0911-7806
総説・解説
色即是空による量子と回折の表現
藤居 義和
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2009 年 40 巻 p. 115-126

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抄録

回折現象を使った構造解析においては,逆空間の概念の理解がきわめて重要となる.実は,これは量子力学の本質を理解することと同じである.そして,この本質とは般若心経の一節「色即是空」そのものである.「色」は形あるもの,「空」は目に見えない漠としたものである.ここで,「色」は粒を表し,「空」は波を表すと解釈すれば,「粒は波である」という極めて単純な理解ができる.本稿では,この「色即是空」による回折現象と逆空間の理解について解説する.「この世の中には粒は存在せず,物質は全て波で出来ている」という考え方をし,全てを逆空間の視点で見れば,ややこしいことに頭を悩ますことも無くなる.万物は波であり「色即是空」である.

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© 2009 公益社団法人日本分析化学会 X線分析研究懇談会
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