2011 年 42 巻 p. 229-235
スラブや厚鋼板の中心偏析の高精度な定量評価を達成するために,EPMAを用いたMnの定量マッピングにおける検量線法の正確さを検討した.析出物形成元素であるC,Sを低減したMn分布の均一性が良好なFe-Mn 2元系合金を作製し,検量線の正確さσdを評価した.2元系合金での点測定においてσdは0.004 mass %で,Standard Reference Material(SRM)試料の面測定でのσd 0.010 mass %より良好な精度であった.検量線を作成するための1試料当たりの測定時間は,2元系合金の点測定によりSRM試料の面測定での200秒から,25秒へと大幅に短縮した.Mnを1.9 mass %含む鋼片の凝固組織の3回繰り返し測定で,Mn濃度が2.2 mass %以上の面積のばらつきは,SRM試料の面測定での2.0 %から,2元系合金の点測定により0.5 %以下に減少した.