X線分析の進歩
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Print ISSN : 0911-7806
総説・解説
京都大学総合博物館2010年企画展「科学技術Xの謎」報告
塩瀬 隆之
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キーワード: X線, 技術史, 大学博物館
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2011 年 42 巻 p. 45-52

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抄録

本稿では,2010年に京都大学総合博物館で開催した春季企画展「科学技術Xの謎」について報告します.本企画展では,日本のX線研究黎明期の技術史資料の展示に加え,その多様な応用例を「美しく魅せる展示」を目指しました.とくに,黒地に白い陰影が淡く浮かぶレントゲンフィルムの不思議な魅力を利用してX線研究の応用範囲の広さを紹介するX線写真展としました.二足歩行ロボット,巻貝,鳥の木乃伊(ミイラ),動物,忍者の剣,X線天文学イメージなど,X線を透して見た姿はその外観とはまた違った独特の美しさで私たちを魅了してくれます.大学の博物館には,自然史や文化史,技術史にかかわる貴重な技術資料を保存,管理し,後世の研究に寄与する研究資源を開発すること,そして大学で生まれる新たな研究を広く社会へ公開し,市民と共同して学問研究をともに育んでいく環境を整えることが求められています.そこで,多くの分野で利用される科学技術であるX線の技術史に着目することで,多様な学術分野の成果を一堂に集めた展示企画としました.

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© 2011 公益社団法人日本分析化学会 X線分析研究懇談会
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