「大谷コレクション」の中には中国古代紙史料である多数の大谷文書があり,それらは龍谷大学大宮図書館に保管されている.それらの保管時に剥落した紙片の一部について科学分析を行った.まず,標準試料として選択した和紙および中国製の紙を対象として,光学顕微鏡を用いた表面観察により,使用された紙原料の特徴を明らかにした.また,蛍光X線分析法を用いた元素分析により,中国古代紙で用いられた填料の種類を推定した.製紙法の特色を示すと考えられる3種の元素(K, Ca, Fe)間のピーク強度データを用いて,填料を含めた紙の製法の違いによる分類の可能性を検討したところ,2もしくは3つのグループに分かれることが明らかとなった.