X線分析の進歩
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Print ISSN : 0911-7806
総説・解説
合成化学研究室におけるX線結晶解析―多核金属錯体を中心に
御厨 正博
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2012 年 43 巻 p. 89-102

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抄録

X線結晶構造解析におけるこの35年間の測定装置,構造解析法,コンピューターの進歩について合成化学研究室でのX線結晶学の取り組みの実例を挙げながら記述した.ワイセンベルグカメラから4軸型単結晶自動回折計への展開期における酢酸銅,コバルト酸素錯体,アセチルアセトナトマンガン(III)の結晶構造解析の例についても記述し,歴史的側面にも触れた.アルコキソ架橋二核銅(II)チオシアナト錯体,ジ-μ-プロピオナト二核銅(II)シッフ塩基錯体,フェノキソ架橋銅(II)コバルト(II)シッフ塩基錯体,幾つかのシッフ塩基マンガン錯体,クエン酸ビスマス錯体,シッフ塩基ペンダント基を持つマクロ環の六核銅(II)錯体,アルコキソ架橋十六核マンガン錯体の結晶構造解析の実際を4軸型回折計,カッパー軸型回折計,CCD回折計によるデータ測定,重原子法や直接法による構造決定と最小自乗法による構造の精密化の解析プログラム,および計算機について触れながらその変遷を述べた.

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© 2012 公益社団法人日本分析化学会 X線分析研究懇談会
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