絶縁性のワイプ布に滴下した市販飲料の内容物の非破壊検出を目指し,この全電子収量軟X線吸収測定を試みた.測定はBL-6.3.2/ALSとBL10/NewSUBARUで実施した.内容物が希薄な飲料や,ワイプ布のセルロースと類似する炭水化物が主成分の飲料については,C K端,O K端ともにワイプ布とのXANESの差異がわずかで,検出は容易ではなかった.一方,たんぱく質や脂質が含まれる飲料については,ワイプ布とのXANESの差異が顕著にみられた.これより,ワイプ布に吸着した飲料の内容物,特に,たんぱく質や脂質の非破壊検出に全電子収量軟X線吸収分光法が有効であることがわかった.