国内放射光施設の共用促進の一環で,同一試料を測定することにより各施設の特徴を相互認識することを目的としたラウンドロビン実験を行ってきた.50 eVから5,000 eVの軟X線吸収分光実験には5施設が参加し,酸化物を主とする安定物質を試料として吸収スペクトルを取得した.軟X線吸収分光では,エネルギー較正法の標準化が課題の一つであることが改めて認識された.また,多くの測定が電子収量法で実施されることから,試料帯電の抑制についてもノウハウの蓄積が重要である.本報では,AichiSRでの実験結果を紹介し,実験を通じて得られた知見をまとめる.測定スペクトルは,利用者がいつでも参照できるような形式で,各施設での公開を進めている.