X線分析の進歩
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CT XAFSによる価数の三次元可視化へのアプローチ:修正線形結合フィッティング
田渕 雅夫
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2021 年 52 巻 p. 15-23

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抄録

XAFS(X-ray absorption fine structure)法は,試料中の特定元素の周辺局所構造や化学状態を議論でき,適用できる対象の幅が広い重要な計測/解析手法である.近年XAFS法の高度化に関する研究も盛んで,その一つの方向として試料を2次元,3次元で観察する高次元化に関する報告も多い.この時,計測時間とデータ量の増大が問題になる.この問題に対して,得ようとする情報を化学状態に限定し,対象試料のスペクトルを参照試料のスペクトルの線形和に分解する形で解析(linear combination fitting:LCF)できる場合なら,その解析方法を修正した方法(modified LCF:MLCF)を用いることで計測点数を大幅に減らしても解析が可能になる.本稿ではこの修正した解析法の考え方と,それを実際に3次元の状態解析に応用した例を紹介する.

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© 2021 公益社団法人日本分析化学会 X線分析研究懇談会
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