X線分析の進歩
Online ISSN : 2758-3651
Print ISSN : 0911-7806
装置計測
ダブルスリット光学素子を用いた共焦線型蛍光X線分析装置の開発と特性評価
園田 将太中野 ひとみ松山 嗣史辻 幸一
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2021 年 52 巻 p. 55-62

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抄録

共焦点型蛍光X線分析法は,X線管と検出器の両方にポリキャピラリーレンズを取り付け,互いの焦点を一致させることで,重なり合った共焦点領域における蛍光X線スペクトルを取得する方法である.そのため,試料を走査しながら分析を行うことで3次元的な元素分布像の取得が可能である.しかし,面内に均一な層構造を有する試料では,必ずしも共焦点体積での分析は必要ではなく,広い分析範囲を測定する場合には,長い測定時間を要する課題がある.そこで,本研究では,一次X線を線状に成型し,試料からの蛍光X線も線状に観測する「共焦線型蛍光X線分析法」を新たに提案した.実際に開発した装置では,X線管と検出器の前にダブルスリットを配置することで,一次X線と蛍光X線を線状に成型した.本稿では,共焦線型蛍光X線分析装置のビーム径や空間分解能,検出限界について特性評価を行った.また,層構造を有する試料に対して,本装置の有用性を検討した.

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© 2021 公益社団法人日本分析化学会 X線分析研究懇談会
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