2021 年 52 巻 p. 69-80
X線CCD検出器を用いたイメージングXAFS法は,比較的高エネルギーに吸収端を持つ重元素に対して透過法が適用されてきた.透過法は試料の光学的な厚みを最適にする必要があるが,透過能の大きい高エネルギーX線を用いる場合は,比較的厚い試料に対して容易に測定できる.ここでは,比較的低エネルギー領域にX線の吸収端を持つ遷移金属元素を対象とし,ガラス材料などの薄くすることが難しい試料中での価数分布を高速スクリーニングすることを目的とした蛍光法の開発を試みた.高感度で位置分解能を持つXAFSスペクトルを得るために,シンチレーターを用いない直接撮像型の検出器とピンホールを用いて,入射エネルギー可変で高輝度のアンジュレータ放射光での実証を行った.