薬局薬学
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崩壊時間の遅延をもたらす酸化マグネシウム錠の吸湿が錠剤の表面構造に及ぼす影響
松尾 泰佑葛西 流聖荒川 亮平舩 寛彦佐塚 泰之工藤 賢三富田 隆
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2020 年 12 巻 1 号 p. 20-24

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抄録

酸化マグネシウム錠は速崩壊性の錠剤であるが,吸湿により崩壊遅延を引き起こす.その理由として,酸化マグネシウムが吸湿時に粉体粒子間の固体架橋を引き起こすことが原因である可能性が考えられている.また,酸化マグネシウムのみで作製した錠剤では,吸湿により錠剤表面の構造変化が生じることが明らかにされている.しかし,上市されている酸化マグネシウム錠には様々な添加剤が含まれており,それらの錠剤での吸湿による表面構造の変化はこれまで報告されていない.本研究では,酸化マグネシウム錠の一つであるマグミット® 錠の表面にはマイクロスケールでの凹凸構造が存在していることを見いだした.錠剤表面の凹凸構造は,水との接触面積を増大させ,素早い崩壊性に関与していると考えられたが,この構造は吸湿による崩壊遅延を引き起こした場合においても変化しないことが明らかになった.

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© 2020 一般社団法人 日本薬局学会
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