2025 年 17 巻 1 号 p. 12-22
近年,薬局薬剤師も患者を中心とした治療への参画が求められている.外来診療において個々の患者に応じた対応を行うためには,医療機関との患者情報の共有が必要となる.本調査では保険薬局での投薬時に患者が薬局薬剤師から提供を希望する情報を把握することを目的にアンケート調査を行った.外来時に医療機関での情報が保険薬局にすぐに伝わっていると思う患者は56.3%であった.薬局薬剤師から提供を希望する情報は「副作用とその程度」が最も多く,次いで「処方変更理由」「処方意図」であった.医療機関に提供を希望する内容は,「残薬があること」が最も多かった.さまざまなオンラインシステムを利用した即時性のある情報共有システムが構築される中,薬局薬剤師が患者の希望する情報を正確に伝え,地域医療における薬物治療に貢献できるようにするためにも,保険薬局—医療機関間の情報共有の内容の検討を行っていく必要があると考える.