YAKUGAKU ZASSHI
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胃がん術後CAPOX療法におけるカペシタビンの残薬評価
木村 優花 川上 和宜中村 匡志横川 貴志清水 久範小林 一男青山 剛鈴木 亘羽鳥 正浩鈴木 賢一高張 大亮小倉 真理子陳 勁松中山 厳馬若槻 尊山口 研成山口 正和
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2023 年 143 巻 12 号 p. 1075-1081

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Summary

Since it is important that patients take their oral anticancer therapy as prescribed, pharmacists need to assess adherence. In addition, oral anticancer drugs are expensive, and reuse of leftover drugs at outpatient pharmacy clinics is useful in reducing drug costs. The present study aimed to clarify when and why patients have leftover capecitabine tablets, and the cost of leftover capecitabine tablets reused at an outpatient pharmacy clinic, focusing on adjuvant capecitabine plus oxaliplatin (CAPOX) chemotherapy for gastric cancer. We retrospectively studied patients who received adjuvant CAPOX chemotherapy for gastric cancer between November 1, 2015, and April 30, 2021, at the Cancer Institute Hospital of the Japanese Foundation for Cancer Research. The cost of leftover capecitabine reused by pharmacists was calculated based on the National Health Insurance drug price standard for the study period. This study included 64 patients who received adjuvant CAPOX chemotherapy. Thirty-seven patients had 152 leftover capecitabine tablets. The most common reasons for leftover capecitabine tablets were nausea and vomiting (21.7%), missed doses (18.4%), and diarrhea (13.2%). The leftover capecitabine tablets for 25 patients were reused at the outpatient pharmacy clinic at a cost of JPY 604142.8 (JPY 24165.7 per patient). The study results suggest that evaluating capecitabine adherence and the reasons for leftover capecitabine tablets at outpatient pharmacy clinics as well as reusing leftover medication can contribute to reducing drug costs.

緒言

従来がん薬物療法は入院で行われていたが,近年は経口抗がん薬や支持療法の発展により外来でのがん薬物療法が主流になっている.外来がん薬物療法では標準療法の多くに経口抗がん薬が含まれ,13経口抗がん薬の治療は注射剤を用いた治療よりも利便性の点で好まれている.4そのため,今後も経口抗がん薬の使用が増えることが予想される.一方,外来での経口抗がん薬治療は,患者自身が指示された投与期間に,決められた投与量を内服する必要がある.そこで,外来での経口抗がん薬治療は,薬剤師による経口抗がん薬や支持療法薬の服薬指導に加え,患者が適正に経口抗がん薬を内服できているかのアドヒアランス評価が重要である.

主なアドヒアランス低下理由の一つは副作用であり,5経口抗がん薬服用患者の残薬理由のうち69.8%が有害事象であることが報告されている.6これまでに,がん研究会有明病院(以下,当院)の薬剤師外来では,薬剤師が経口抗がん薬のアドヒアランスを評価し,その低下要因を明らかにしてきた.710そこでは,大腸がん及び胃がん患者の主なアドヒアランス低下理由は,悪心・嘔吐,下痢などの副作用であることが報告されている.79このように,薬剤師がアドヒアランスを評価することで経口抗がん薬を内服できなかった理由が明らかとなり,副作用マネージメントにつながることが期待される.

薬剤師外来の業務内容は,①ピルカウント及び患者の自己申告(self-report)による経口抗がん薬のアドヒアランス及び残薬の確認,②副作用の重症度評価,③経口抗がん薬及び支持療法薬の処方提案,④経口抗がん薬及び注射剤の治療実施可否,減量提案等である.11薬剤師による経口抗がん薬の処方提案では,前コースの残薬数に応じて処方量を調整して医師に処方提案しており,薬剤費削減において重要である.

福岡の節薬バッグ運動では,薬局薬剤師が残薬を確認し,処方調整することで薬剤費削減効果が明らかとなった.12経口抗がん薬服用患者に対する病院薬剤師の取り組みとしては,薬剤師外来で経口抗がん薬の処方提案を行い,医師が処方して残薬を再利用することによる薬剤費削減効果が報告されている.6しかし,その報告では複数の経口抗がん薬を対象としており内服できなかった理由もレジメン毎に評価されていない.さらに,どの時点で残薬が発生したか明らかではない.今後薬剤師が,経口抗がん薬のアドヒアランスを評価し,アドヒアランスを向上させるためには,いつ,どのような理由で経口抗がん薬の残薬が発生するかの情報がレジメン毎に必要となる.

そこで,本研究では胃がん術後補助化学療法として標準療法のひとつであるカペシタビン+オキサリプラチン併用(capecitabine plus oxaliplatin: CAPOX)療法13に焦点を当て,カペシタビンの残薬発生時期及び残薬理由,薬剤師外来でのカペシタビンの残薬再利用金額を明らかにすることを目的とした.

方法

1. 試験デザインと評価対象症例

2015年11月1日から2021年4月30日までに,当院消化器化学療法科で胃がん術後補助化学療法としてのCAPOX療法を施行した患者を対象に,電子カルテを用いて後方視的に調査した.

CAPOX療法では,1日目にオキサリプラチン130 mg/m2を2時間かけて静脈内注入し,1日目から14日間カペシタビン1000 mg/m2を1日2回経口投与した後,7日間休薬した.これを1コースとし,8コース繰り返し行った.14

2. 評価項目

本研究の評価項目は,カペシタビンの残薬が発生した患者数及び残薬理由,薬剤師外来でのカペシタビンの残薬再利用金額とした.

(1)カペシタビンの残薬が発生した患者数及び残薬理由

治療コース毎にカペシタビンの残薬が発生した患者数及び残薬理由を,電子カルテ記録より抽出した.なお,カペシタビンの残薬及び残薬理由は,次の治療コース開始前に薬剤師又は医師が確認し,薬剤師外来ではピルカウント及び患者の自己申告(self-report)の方法で残薬を確認した.薬剤師外来が実施されず,医師の診察のみであり,かつ電子カルテから残薬理由の情報を得られなかったものを「不明」とした.

(2)薬剤師外来でのカペシタビンの残薬再利用金額

CAPOX療法1コース目終了後から7コース目終了後に,薬剤師がカペシタビンの残薬数に応じて処方量を調整して医師に処方提案を行い,医師が処方して再利用した患者におけるカペシタビンの残薬金額を,薬剤師外来でのカペシタビンの残薬再利用金額として算出した.

CAPOX療法1コース目から8コース目に処方されたカペシタビンの総金額を,カペシタビンの処方金額として算出した.カペシタビンの処方金額のうち,薬剤師外来での残薬再利用金額の割合を算出した.

カペシタビンの残薬再利用金額及び処方金額の算出には,2015年11月1日から2021年4月30日の厚生労働省の薬価基準収載品目リストの「ゼローダ®錠300」の薬価を用いた.「ゼローダ®錠300」の薬価は,360.50円/錠(平成26年4月1日から平成28年3月31日まで),360.20円/錠(平成28年4月1日から平成30年3月31日まで),358.00円/錠(平成30年4月1日から令和元年9月30日まで),346.40円/錠(令和元年10月1日から令和2年3月31日まで),251.50円/錠(令和2年4月1日から令和3年3月31日まで),223.30円/錠(令和3年4月1日から令和4年3月31日まで)であり,薬価改定に応じて金額を算出した.

3. 倫理的配慮

本研究は「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(令和3年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号,同年6月30日施行)」を遵守して実施し,当院の倫理審査委員会の承認(承認番号:2021-GB-017)を得て実施した.

結果

1. 評価対象症例

胃がん術後CAPOX療法を受けた患者として67例が抽出され,除外症例を除いた64例が評価対象症例となった.除外となったのは,カペシタビンの残薬数が不明であった2例と,2コース目以降は転院して治療を継続した1例であった.評価対象症例の患者背景をTable 1に示す.年齢中央値は60.5歳(23–77歳)であり,男性が43例,女性が21例であった.手術方法は,胃全摘術が26例(40.6%),幽門側胃切除術が35例(54.7%),噴門側胃切除術が1例(1.6%)であった.CAPOX療法の治療期間平均値は7.38コース(1–8コース)であった.

Table 1. Patients’ Characteristics

CharacteristicNo. of patients (n=64)
Median age, years (range)60.5 (23–77)
Sex
Male/Female43 (67.2%)/21 (32.8%)
PSa) 0/132 (50.0%)/32 (50.0%)
Pathological stage
IIIA4 (6.2%)
IIIB32 (50.0%)
IIIC25 (39.1%)
Other3 (4.7%)
Surgical procedure
Total gastrectomy26 (40.6%)
Distal gastrectomy35 (54.7%)
Cardiac gastrectomy1 (1.6%)
Other2 (3.1%)
Duration of use (cycle)
Mean (standard deviation)7.38 (1.59)
Range1–8
Creatinine clearance (mL/min)
Median (range)86.1 (38.4–168.2)

Creatinine clearance was calculated using the Cockcroft–Gault equation. a) PS: Performance Status (Eastern Cooperative Oncology Group).

2. カペシタビンの残薬が発生した患者数

カペシタビンの残薬が発生した患者の割合は57.8%(37例/64例)であった.カペシタビンの残薬が発生した患者の割合は,1コース目31.3%(20例/64例),2コース目29.0%(18例/62例),3コース目32.8%(20例/61例),4コース目18.3%(11例/60例),5コース目19.3%(11例/57例),6コース目24.6%(14例/57例),7コース目21.8%(12例/55例),8コース目15.1%(8例/53例)であった.1から3コース目にカペシタビンの残薬が発生した患者の割合は50.9%(58例/114例)であった.また,1から8コース目まで継続して残薬が発生した患者の割合は1.6%(1例/64例)であった.

3. カペシタビンの残薬理由

胃がん術後CAPOX療法でのカペシタビンの残薬発生回数は,のべ152回であった.主な残薬理由は悪心/嘔吐33回(21.7%),患者の服用忘れ28回(18.4%),下痢20回(13.2%),食欲不振14回(9.2%),末梢神経障害12回(7.9%)であった(Fig. 1).

Fig. 1. Reasons for Leftover Capecitabine Tablets

Reasons for leftover capecitabine tablets during adjuvant capecitabine plus oxaliplatin (CAPOX) chemotherapy are presented. In patients treated with adjuvant CAPOX chemotherapy for gastric cancer, there were a total of 152 instances of leftover capecitabine tablets. The category “Other” included one each of constipation, abdominal distension, common bile duct stones, anemia, edema, cold, dry mouth, and neutropenia.

胃がん術後CAPOX療法でのカペシタビンの残薬理由を,治療コース毎に示した(Table 2).悪心/嘔吐による残薬は,1コース目10回であったが,2から8コース目は6回,7回,3回,2回,2回,2回,1回と減少した.下痢による残薬は,1から3コース目に2回,4回,5回と増加したが,4から8コース目に3回,3回,0回,2回,1回と減少した.末梢神経障害による残薬は,2コース目2回,3コース目1回発生し,5から8コース目に1回,2回,3回,3回と増加した.オキサリプラチン投与中止後も末梢神経障害によりカペシタビンの残薬が発生した患者は1例であった.患者の服用忘れによる残薬は1から8コース目に継続して発生した.

Table 2. Reasons for Leftover Capecitabine Tablets per Course of Treatment

Reasons for leftover capecitabine tabletsInstances of leftover capecitabine tablets
1st cycle2nd cycle3rd cycle4th cycle5th cycle6th cycle7th cycle8th cycle
Nausea/vomiting106732221
Anorexia23313200
Diarrhea24533021
Dysgeusia00311111
Fatigue00212111
Peripheral neuropathy02101233
Hand-foot syndrome01000001
Fever30010012
Lightheadedness00112000
Palpitations01000100
Pain in lower extremities00110010
Missed dose35624521
Unknown00010110
Other31010201

The category “Other” included one each of constipation, abdominal distention, and neutropenia in the 1st cycle, one dry mouth in the 2nd cycle, one edema in the 4th cycle, one each of common bile duct stones and anemia in the 6th cycle, and one cold in the 8th cycle.

4. 薬剤師外来でのカペシタビンの残薬再利用金額

評価対象症例のカペシタビンの残薬再利用金額は695958.6円であった.薬剤師外来で,薬剤師がカペシタビンの残薬数に応じて処方量を調整して医師に処方提案を行い,医師が処方してカペシタビンの残薬を再利用した患者は25例であり,薬剤師外来でのカペシタビンの残薬再利用金額は604142.8円(1人あたり24165.7円)であった.

評価対象症例のカペシタビンの処方金額は1577437.6円であった.カペシタビンの処方金額のうち,薬剤師外来でのカペシタビンの残薬再利用金額は38.3%であった.

考察

本研究では,胃がん術後CAPOX療法におけるカペシタビンの残薬発生時期及び残薬理由,薬剤師外来での残薬再利用金額が明らかとなった.1から3コース目にカペシタビンの残薬が発生した患者の割合は50.9%であり,主な残薬理由は悪心/嘔吐,下痢,食欲不振などの消化器毒性であった.また,カペシタビンの残薬再利用金額695958.6円のうち,薬剤師外来での残薬再利用金額は604142.8円であり,薬剤師外来でのカペシタビンの残薬再利用は薬剤費削減に貢献できる可能性が示唆された.

胃がん術後補助化学療法としてのCAPOX療法において,主な有害事象として悪心,下痢,食欲不振,末梢神経障害が報告されている.15本研究では,主なカペシタビンの残薬理由は悪心/嘔吐,下痢,食欲不振,末梢神経障害であり,CAPOX療法の有害事象と一致する.これより,胃がん術後補助CAPOX療法の有害事象はカペシタビンの残薬に影響を与える可能性があるため,消化器毒性や末梢神経障害の発現によるカペシタビンのアドヒアランス低下を防ぐことが重要である.

胃がん術後CAPOX療法を実施した日本人患者では,Grade 3/4の悪心の発現率は10%であったと報告されている.15特に,Grade 3/4の悪心の発現率は,胃全摘術を受けた患者で17%,幽門側胃切除術を受けた患者で6%であり,胃全摘術を受けた日本人患者ではGrade 3/4の悪心の発現率は高かった.15本研究で悪心/嘔吐によりカペシタビンの残薬が発生したのは,胃全摘術を受けた患者が40.6%含まれたことの影響が考えられる.また,カペシタビンの残薬は1から3コース目に残薬発生患者の50.9%で発生し,その期間の主な残薬理由は消化器毒性(悪心・嘔吐,下痢,食欲不振)であった.オキサリプラチンを含むレジメンにおいて,急性及び遅発性の化学療法誘発性悪心の完全制御割合は,4から6コース目と比較して1から3コース目の方が低いことが報告されている.16したがって,本研究で1から3コース目に消化器毒性によるカペシタビンの残薬が多く発生したことは,その期間に発現した悪心の影響が考えられる.本研究より,1コース目終了後から3コース目終了後は薬剤師外来でカペシタビンのアドヒアランス評価を行うことが重要である.当院では中等度催吐性リスクに対する標準制吐療法を実施しているが,17悪心リスクの高い患者における悪心のコントロールが不十分であったことが残薬の発生要因として考えられる.悪心のリスク因子として女性,55歳未満,飲酒習慣なしが報告されている.18悪心リスクが高い患者では,制吐薬適正使用ガイドラインに従い,オプションとしてアプレピタントを追加することを検討する必要がある.17一方,末梢神経障害によるカペシタビンの残薬は5コース目以降に多い傾向であった.カペシタビンでは末梢神経障害は発現しないことから,末梢神経障害によるカペシタビンの残薬発生はオキサリプラチンの影響が考えられる.これまで,経口抗がん薬の残薬理由として消化器毒性や手足症候群が報告されているが,6本研究では末梢神経障害が残薬理由として明らかとなった.経口抗がん薬のアドヒアランス向上の対策として,経口抗がん薬だけでなく注射薬の副作用マネージメントも重要であると考える.本研究では,オキサリプラチン投与中止後も末梢神経障害によりカペシタビンの残薬が発生した.オキサリプラチンによる末梢神経障害は用量依存的であり,投与初期よりも投与回数が重なると症状が強く発現する.また,オキサリプラチンの投与中止後も数ヵ月間症状が悪化するcoastingが特徴的である.19患者は,オキサリプラチン中止後もしびれが悪化し,しびれをカペシタビンによる影響と考え自己判断でカペシタビンを内服しなかったと考えられる.5コース目以降,及びオキサリプラチン投与終了後は末梢神経障害が増悪していないか症状を注意深く評価し,末梢神経障害の増悪はカペシタビンが原因ではないことを繰り返し説明していく.以上より,薬剤師外来でアドヒアランスを評価し,残薬理由を明らかにすることは副作用をマネージメントする上で重要であると考える.

令和4年度調剤報酬改定では重複投薬,相互作用の防止等に係る薬剤服用歴管理指導料における加算について評価の位置付けが変更され,薬剤師による医療費削減が求められている.本研究では,カペシタビンの残薬再利用金額695958.6円のうち,薬剤師外来で薬剤師がカペシタビンの残薬数に応じて処方量を調整して医師に処方提案を行った結果,医師が処方して再利用したカペシタビンの残薬金額は604142.8円であった.薬剤師外来でのカペシタビンの残薬再利用金額は,カペシタビンの処方金額の約38%であり,薬剤師外来でのカペシタビンの残薬再利用は薬剤費削減に貢献できる可能性が示唆された.

本研究には,いくつかの研究の限界がある.第一に,本研究は単施設における後ろ向き観察研究であり,症例数が64例と限られた.第二に,本研究の残薬理由は他の経口抗がん薬の残薬理由と大きな差はなく,統計学的解析もしていない.しかし,薬剤師外来を実施し,薬剤師が経口抗がん薬の残薬を再利用した報告が少ない現状において,胃がん術後CAPOX療法におけるカペシタビンの残薬発生時期や治療コース毎の残薬理由が明らかとなった.さらに,本研究では末梢神経障害や患者の服用忘れが残薬理由として明らかとなり,薬剤師外来での経口抗がん薬のアドヒアランス評価や副作用マネージメントを行う上で意義があったと考える.第三に,本研究では薬剤師外来におけるカペシタビンの残薬発生時期や残薬理由を評価したが,残薬理由に対する薬剤師の関与やその結果を示すことができなかった.これまでに,薬剤師が医師と協働した結果,抗がん薬の中止率が減少したという報告20や外来がん化学療法を受けている患者のQOLが向上したという報告がある.21薬剤師外来では,副作用の重症度評価及び経口抗がん薬のアドヒアランス評価,支持療法薬や抗がん薬減量の提案を行っている.その結果として,副作用の重症度低下,経口抗がん薬のアドヒアランス向上といった結果を得られる可能性があるため,今後それらを検証し示すことが課題である.

本研究の結論として,胃がん術後補助CAPOX療法におけるカペシタビンの主な残薬理由は消化器毒性(悪心/嘔吐,下痢,食欲不振)であり,1から3コース目に多い傾向が示された.したがって,カペシタビンのアドヒアランス向上のために,消化器毒性に対するマネージメントを1から3コース目までに実施することが重要であることが考えられる.また,カペシタビンの残薬再利用金額695958.6円のうち,薬剤師外来での薬剤師による残薬再利用金額は604142.8円であった.本研究では,薬剤師外来でアドヒアランス評価をすることで,アドヒアランス向上及び,カペシタビンの残薬再利用による薬剤費削減に貢献できる可能性が示唆された.

謝辞

本研究はJSPS KAKENHI Grant Number JP22K10380による支援を受けて実施した.

利益相反

開示すべき利益相反はない.

REFERENCES
 
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