山野研究紀要
Online ISSN : 2433-6424
Print ISSN : 0919-6323
<原著>アール・デコの線,形,素材感を反映したヘアー・デザインの制作
富田 知子秋田 留美
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1994 年 2 巻 1 号 p. 79-87

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抄録
一つの時代に生まれた優れた建築物を媒介にして,その建築物の生きてきた時代の生活や美意識を理解することは可能である。また,本来,美容とは異なる分野である建築の世界の垣を越え,建築物のもつエッセンスを抜き出し,それを美容の方法論に応用すれば,有用なアイデアがそこから出て来ることもあり得よう。ヴィダル・サッスーンが60年代にサッスーン・ボブの開発に当たり,バウハウスの建築家やル・コルビュジェなどの,モダニズムの建築家たちのデザイン思想を取り入れたのは周知のとおりである。その後,70年代のモダニズムの行き詰まりを経て,建築様式の世界では,ポスト・モダンと総称される潮流が続いてきた。そして,ポスト・モダンの時代に,多くの過去の歴史的建築スタイルは新しい命を吹き込まれ,現代に蘇ってきている。アール・デコ様式は,その中でも人気のある様式のひとつである。今回,私たちはアール・デコ様式を取り上げることとし,そのエッセンスを取り入れ,現代風に新しくアレンジしたヘアー・スタイルをデザインすることを試みた。このようにして,ヘアー・デザインを施したモデルをアール・デコ建築の中に置き,写真撮影を行った。ヘアー・スタイルが,背景となるアール・デコ様式と調和するような全体的な効果を意図したものである。
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© 1994 学校法人山野学苑 山野美容芸術短期大学
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