2022 年 3 巻 J2 号 p. 372-379
設計時に想定していたよりも大きな地震動が入力された場合,免震構造物が擁壁に衝突する可能性について指摘されている.免震構造物が擁壁に衝突する際の免震システム全体の挙動をシミレーションするためには,衝突に伴う擁壁部の復元力特性をモデル化する必要がある.しかし,そのためには実大実験や精緻な3次元FEM による非線形解析が必要とされ,モデル化は決して容易ではない.そこで本研究では,機械学習による事前学習モデルを用いることで,擁壁衝突時の解析に必要となる免震層擁壁の復元力特性を設計パラメータから即座に算定できる評価手法を提案する.本報では,まず提案手法について説明し,次に実際に提案手法に従い事前学習モデルを構築する.最後に,事前学習モデルによって求めた復元力特性と3次元FEM モデルの結果を使って作成した復元力特性の比較を行い,本提案手法の適用可能性について示した.