着付けとは、自分(以後自装とする)、または他人(以後他装とする)に対して、着物や衣裳を、正しく着せ付けることをいう。本研究の目的は、車いす利用者に対して、美容福祉を学んだ着付け師による着物着付けの技術を用いて、車いす利用者自らが自装できることをめざしている。健常者の中には、着物を日常的に楽しむ人もおり、車いす利用者の中にも同様の気持ちを持つ人もいる。そこで、従来おこなってきた「車いす利用者のための着付け」シリーズ1~4)に見る方法を基に、車いす利用者自らが行う場合の改善点や新たな方法の開発を行うことが必要となる。 今回の研究により、対象とした車いす利用者の肢体の可動範囲などにたいする、着付けに必要な過程の相互性について改善が必要な部分が抽出できた。車いす利用者であっても、さまざまな装いを楽しみたいという気持ちに変わりはない。「車いす利用者のための着付け」はそうした人たちのために開発した方法である。ならば、自分で着てみたい、という思いに応えていくことも筆者らの使命であると考え、本研究で得られた成果を報告する。