山梨英和大学紀要
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大型哺乳類の絶滅に対する環境因子と狩猟因子の相互作用
山本 明歩
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2017 年 16 巻 p. 15-26

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抄録
10 万年ほど前からホモ・サピエンスが地球の各地に拡散し始めると、ユーラシア大陸、南北アメリカ大陸、オーストラリア大陸など様々な地域で大型哺乳類の絶滅が生じている。その中でも数千年前に絶滅したケナガマンモス(Mammuthus primigenius)は、生息地域が極北であり、時折凍土の中から凍り付いた状態で発掘されることから比較的多くのことが知られている。そして、その絶滅原因については更新世末期の急激な環境変化によるものであるのか、あるいは人類の過剰な狩猟の影響が大きかったのかという点について今日でも議論が続いている。本研究では、ケナガマンモスについて既知の情報をベースにして、絶滅に至る過程が環境の不安定性や狩猟パターンの違いによってどのような影響を受けるのかという点について、数値計算による分析を行った。その結果、環境の不安定な変化と、人類による狩猟の影響が複合的に作用する可能性が示された。また、年間の狩猟数が同じであっても、通年狩猟を行うモデルと冬季のみに集中的に狩猟を行うモデルでは、後者のほうが絶滅時期を有意に早めることが示された。
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© 2017 山梨英和大学
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