山梨英和大学紀要
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アドリエンヌ・リチ「別れ:嘆くのを禁じて」再読:アメリカとアメリカ詩の相剋
渡辺 信二
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2018 年 17 巻 p. 40-52

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抄録

この論文は、アメリカ女性詩人アドリエンヌ・リチ(Adrienne Rich: 1929-2012)の詩作品「別れ:嘆くのを禁じて」(“Valediction: Forbidding Mourning”:1970 年作)を詳細に分析することで、この作品が、 詩人リチの変化点であることを確認し、同時に、彼女が何を模索してどのように当時のアメリカと対峙したのかを明らかにする。『変化への意志』(The Will to Change 1971)に収められている本作品は、 女性詩人アドリエンヌ・リチが、まさしく、女性詩人としてあらたな出発するための歌であることは、ある程度、理解されているが、その理解をより明確にするべく、作品読解や伝記的事実の確認、および、推測しうる可能性を詳しく検討し、その結果として、依然として父権主義、男性中心主義であるアメリカの現状に対峙し、すべてを捨てて、あらためて女性詩人たろう、新しい地平に向けて女性として出立しよう、というリチの決意をこの作品に読みとる。

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© 2018 山梨英和大学
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