山梨英和大学紀要
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中国語の判断動詞"以为"について
李 貞愛
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2004 年 3 巻 p. A131-A147

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抄録
"以为"は人間の思考判断を表す動詞である。そして"以为"は判断が現実と合致しない場合に用いられる。判断が現実と合わないということは、判断が現実によって否定されたとも捉えられる。本稿は否定という角度から、"以为"の意味と機能について考察を行い、以下のようなことが明らかになった。話し手が"以为"を用いて発話するに当たって、「判断の主体が何かに基づいてある判断を下した」を前提とする。そしてこの判断は主体の推測、常識、対象に対する主体の認識による。従って、現実との食い違いが生じる。話し手が"以为"を用いて発話する場合、それは主体が下した判断を提示すると同時に、主体の判断の適切性に対して否定もしている。即ち"以为"は語用論的否定機能を備えている。
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© 2004 山梨英和大学
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