抄録
"以为"は人間の思考判断を表す動詞である。そして"以为"は判断が現実と合致しない場合に用いられる。判断が現実と合わないということは、判断が現実によって否定されたとも捉えられる。本稿は否定という角度から、"以为"の意味と機能について考察を行い、以下のようなことが明らかになった。話し手が"以为"を用いて発話するに当たって、「判断の主体が何かに基づいてある判断を下した」を前提とする。そしてこの判断は主体の推測、常識、対象に対する主体の認識による。従って、現実との食い違いが生じる。話し手が"以为"を用いて発話する場合、それは主体が下した判断を提示すると同時に、主体の判断の適切性に対して否定もしている。即ち"以为"は語用論的否定機能を備えている。