言語による否定にはさまざまな方式がある。否定詞を用いることもあれば、否定の意味が内蔵されている語彙を使うこともある。即ち、否定の形式は多様である。本稿では現代中国語における否定の一文形式-条件文に焦点を当てた。条件文は単なる命題における仮定と確定の対立、順接か逆説かの問題だけにとどまらない。話し手がどういう意図をもって条件文を発話しているのか、聞き手に何を発信しようとしているのか、つまり話し手の心的世界との関連からも捉えられる。そして条件文によって現れる話し手の心的世界と仮定世界との対立は否定として考えられる。