山口医学
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症例報告
同時性に脳転移およびVirchowリンパ節転移を認めた上行結腸癌の1例
岡崎 充善須藤 隆一郎金山 靖代野島 真治善甫 宣哉
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2011 年 60 巻 6 号 p. 231-235

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抄録
症例は50歳代女性.意識障害を主訴に来院し,頭部CTにて脳腫瘍と診断.右下腹部に手拳大の腫瘤を触知し,腹部CTにて上行結腸腫瘍及び広範なリンパ節腫大を認めた.下部消化管内視鏡検査にて上行結腸に2型の腫瘍を認め,病理組織学的に管状腺癌と診断した.さらに,左鎖骨上に2cm大の硬性腫瘤を触知し,Virchowリンパ節転移と診断した.意識障害改善目的に脳転移に対しラジオサージャリー施行し,術後意識清明となった.原発巣に対しては出血および閉塞予防目的に回盲部切除術を施行した.術後全身状態改善し,mFOLFOX6療法1クール施行したが,誤嚥性肺炎を合併し術後42日目(入院62日目)に永眠した.同時性脳転移・Virchowリンパ節転移の頻度はそれぞれ0.1%と稀であり,さらに肝・肺転移を伴わない脳転移を契機に発見された上行結腸癌の症例を経験したため,文献的考察を加え報告する.
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© 山口大学医学会
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