日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-20
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ポスター発表
鶏卵の濃厚卵白および水様卵白の機能特性の比較
*設樂 弘之小泉 昌子峯木 眞知子
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キーワード: 卵白, 物性, 構造
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抄録

【目的】卵白は濃厚卵白と水様卵白にわかれている。水様卵白と比較して濃厚卵白にはムチンの含有量が多く、そのムチンがネットワークを作りゲル化していることから高い粘度を保っていると考えられている。また、産卵後、時間が経過すると粘度が低下することから濃厚卵白の状態については関心が高い。しかし濃厚卵白の特性、特に調理に対する影響を調べた例はあまりない。本研究では水様卵白と濃厚卵白の比較を行いその特性の違いを明らかにすることを目的とした。

【方法】市販の卵を用い、割卵した後セパレーターを使って卵黄とカラザを除去した。卵白を20メッシュストレーナーに載せ、通過した卵白を水様卵白、メッシュ上に残った卵白を濃厚卵白とした。生の状態での構造は、各卵白をグルタルアルデヒドとオスミウム酸で固定し、エタノールで脱水した試料を用い、走査型電子顕微鏡で観察した。粘度変化については動的粘弾性を、ゲル物性については破断時の物性、起泡力については起泡させたときの泡の高さと安定性を測定した。

【結果・考察】構造観察では、水様卵白は無構造であったのに対し、濃厚卵白には層状のものが観察された。次に卵白を加熱したときの粘度では、60℃まではあまり変化がなかった。しかし、急激に粘度が上昇する温度が存在した。水様卵白は65℃付近で上昇し、一度低下してから再度上昇した。濃厚卵白では67℃付近から粘度が上昇した。80℃で加熱してしっかりゲル化させた場合、破断強度にはあまり違いはなかったが、破断までの圧縮距離は濃厚卵白のほうが大きくなった。起泡力については、水様卵白の泡が濃厚卵白より、高かった。その泡を放置したときの離水量は濃厚卵白で少なかった。

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