2017 年 66 巻 1 号 p. 41-45
患者は36歳,男性.心窩部痛を主訴に受診し,上部消化管内視鏡検査で,萎縮のない粘膜を背景とした胃体上部大弯に,5mm大の山田・型ポリープを認めた.Helicobacter pylori 感染は陰性であった.生検組織の病理診断は,胃型粘液形質の低異型度分化型腺癌で,腫瘍細胞はMUC5AC陽性細胞が主体であり,胃腺窩上皮型癌と診断された.後日施行した内視鏡的粘膜切除後の標本に腫瘍は認めなかったため,生検により腫瘍部は完全切除されたものと推定された.