2017 年 66 巻 2 号 p. 97-104
鎮静下内視鏡診療を受けた高齢患者のせん妄様行動について,65歳以上の患者,男性110名(48%),女性120名(52%)計230例の看護記録を後方視的に調査し,その発現に関連する要因を検討した.内視鏡診療後,せん妄様行動あり群(34例)とせん妄様行動なし群(196例)とに分け,各要因についてのχ2検定を用いた群間比較および各要因を説明変数,せん妄様行動の有無を目的変数としたロジスティック回帰分析を行った.
χ2検定の結果,ハイリスク薬を内服している人にせん妄様行動の発現が多い傾向を認めた(p=0.052).多変量解析の結果,年齢(OR=1.27),男性(OR=2.88),ハイリスク薬の内服あり(OR=3.44)の3変数がせん妄様行動の関連要因として抽出された.本研究の結果から,高齢の男性でハイリスク薬の内服をしている患者に診療後せん妄様行動が発現しやすいことが示唆された.