山口医学
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原著
警察官通報により措置入院となった精神障害者に対する保健所保健師の再発予防支援
伊藤 悦子守田 孝恵
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2020 年 69 巻 1 号 p. 13-

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抄録

【目的】保健所の警察官通報体制及び精神保健担当保健師(以下,保健師)の再発予防支援の実態を明らかにし,警察官通報により措置入院となった精神障害者の措置入院歴との関連から,保健師が行う再発予防支援を提示することを目的とした.

【方法】県型保健所の統括保健師371人及び保健師569人を対象に郵送無記名自記式質問紙調査を行った.調査票は統括保健師と保健師への2種類とし,内容は統括保健師へは「保健所の管内状況,通報体制,通報実績」,保健師へは「基本属性,再発予防支援36項目」とした.分析は,措置入院歴ありの件数を従属変数,再発予防支援36項目を独立変数とした重回帰分析を行い,有意差のあった項目と属性との関連を群間比較で検討した.

【結果】有効回答率は統括保健師49.6%,保健師79.8%であった.措置入院歴ありの件数と再発予防支援の5項目に関連が見られ,「地元自治会に理解を得る」,「患者と支援者が共有するツールを用いて支援する」得点が高いほど措置入院歴ありの件数は少なかった.一方,「支援者と制度趣旨や基準を共有する」,「患者の病気理解の程度を把握する」,「医療機関へ患者の退院後の意向を伝える」得点が高いほど措置入院ありの件数は多かった.再発予防には患者の自己管理支援が必要と考えられた.これら5項目全てにおいてOn the Job Training(以下,OJT)あり群が有意に高得点を示した.警察官通報には被通報者が警察に保護されていない通報(以下,保護なし通報)が48.4%の保健所に見られた.

【結論】保健師が行う再発予防支援は,地元自治会に働きかけ精神障害者が地域で暮らすことの理解を得ること,患者と支援者が共有するツールを用いること,患者の自己管理支援のための連携であった.警察官通報の現状として保護なし通報が存在し,その見解が保健所間で統一されていない課題があった.

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© 2020 山口大学医学会
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