抄録
我が国では脳死下臓器提供が進められているが先進国と比較すると,件数は少ない状況にあり,脳死下臓器提供における看護師の役割を標準化したガイドラインの整備と体制づくりが喫緊の課題である.本研究は,脳死下臓器提供の看護師役割ガイドラインを作成し,脳死下臓器提供施設の看護師806名を対象に,ガイドラインの適正性としての重要度と実践可能度について調査した.分析は,看護師の認識のばらつきをinterquartile range(IQR)により確認し,脳死下臓器提供看護の経験の有無についてMann-WhitneyのU検定,Kruskal Wallis検定を用いて比較した.「脳死下臓器提供の看護師役割ガイドライン」について,看護師が認識する重要度は全カテゴリにおいてIQR4.0以上であり,ガイドラインで提示された内容を重要だと捉えていた.さらに,実践可能度では,すべてのカテゴリにおいて脳死下臓器提供の経験がある看護師は,経験がない看護師よりもガイドラインで提示された内容を実践できると回答していた.しかしながら,【臓器保護】や【悲嘆ケア】ではIQRが他のカテゴリより低く,看護師はこれらケアの実施を難しいと捉えていた.重要度より実践可能度が低いカテゴリは,今後の教育や訓練の必要性を示唆しており,臓器提供における看護教育が期待される.